
松茸と鱧──「みつわ」が織りなす、秋の極み
はじめに
秋の食卓に名を刻む二大主役、松茸と鱧(はも)。香りの王と、骨切りの技で花開く白身。二つが出汁の上で出会うとき、日本料理は驚くほど静かに、しかし格段に深みをもたらします。「みつわ」では、その日の入荷と状態に合わせて火入れや仕込みを調整し、新たな“発見”が残る一皿へと導きます。
松茸──森の香を食す
松茸の価値は、香りと歯切れに尽きます。傘が開き切る前で軸が締まった個体ほど香りは濃く、国産の最盛期は概ね9月下旬〜11月半ばまで続きます。産地や年の作柄で価格・流通は大きく揺れます。
鱧──骨切りが生む、絹の口どけ
鱧は小骨の多さゆえに、包丁の仕事がそのまま味へ直結する魚。職人は皮一枚を残して一寸二十〜三十筋、0.3〜0.5mm間隔で細やかに刃を入れ、舌に残らぬ柔らかさと上品な甘みを引き出します。旬は二度。梅雨どきの産卵前と秋の産卵後に旨みと脂が乗り、松茸との取り合わせが一段と映えます。
松茸×鱧──だしが結ぶ、香りと旨み
土瓶蒸しは、土瓶に一番だし・松茸・鱧を閉じ込め、猪口で吸いながら香りの層を確かめる料理。まず立香、次に鱧の旨み、最後にすだちの酸で余韻を締める。もう一方の定番「鱧松茸しゃぶ」は、松茸を浮かべただしに鱧をさっと泳がせ、香りと旨みを同時に立ち上げます。
「みつわ」のこだわり
松茸は切り口がしっとり、軸が太いものを。鱧は身に厚みがあり、骨切りの断面が均一であることが上等の目安。いずれも“今日が最良”という瞬間があり、そこを逃さないのが「みつわ」のこだわりです。
香りは熱で開き、旨みは刃で目を覚ます──。松茸には火の入り際、鱧には骨切りの間合いがあり、その一瞬を逃さないことが“おいしさの核心”です。みつわでは、出汁・器・温度・酒器に至るまでこだわり、お客様にご提供しています。
季節の輪郭を、一椀に
松茸の香り、鱧の旨み、そして出汁。三者が交わる瞬間にだけ現れる“日本の秋の輪郭”を、「みつわ」で。